シリーズ「授業」(令和元年度)
共にひらく家庭科の学習
~自分の成長を自覚し、他者と協働しながら生活をよりよくしようと工夫し実践する子供~
Ⅰ.研究主題設定の理由
児童の実態を見ると、製作や実習への関心や意欲は高いが、既習事項や生活経験と関連付けて考えたり、互いに考えを広げたり深めたりしながら見通しをもち課題の解決に向け取り組んでいくことに課題がみえた。そこで、他者と協働しながら、日常生活をより良くしようと意欲をもって主体的に工夫し、実践しようとする姿を育みたいと願い、本研究主題を設定した。
Ⅱ.目指す子供の姿
○日常生活に必要な基礎的な知識を理解し、それらに係る技能を身に付けている子供
○日常生活の中から問題を見付け、課題を解決する子供
○家庭生活に関心をもち、家族や地域との関わりを考え、生活をより良くしようと実践する子供
Ⅲ.授業実践
1.題材名 第5学年(全14時間)
「あったらいいな わたしのシューズバッグ!」
2.児童の実態
自作のマスクを毎日使い、ものづくりの楽しさを味わった子どもたちであるが、製作の意欲があっても、つまずいた時に困ったままで、自分で解決の見通しをもつことがなかなかできないでいる。
3.題材の目標
○ミシン縫いや布に関心をもち、生活を豊かにする物を製作し、活用しようとする。
○つくりたい物の形や大きさや、目的に応じた縫い方について考えたり、自分なりに工夫したりすることができる。
○安全にミシンを操作し、直線縫いできる。
○アイロン等の製作に必要な用具の安全な扱い方やミシンの基礎的な操作が分かる。
4.研究の視点と内容
次の3つの視点を設定し研究を進めてきた。
【視点1】体験を通した問題解決的な学習の充実
○5年間の題材配列の工夫
マスクの製作の既習をいかし、できあがりをイメージして製作計画を立てることができた。
マスクの製作の既習をいかし、できあがりをイメージして製作計画を立てることができた。
○題材展開の工夫
縫い代やゆとりといった袋づくりに必要な基礎的・基本的な知識及び技能を押さえ、その上で、願いに合ったシューズバッグに必要な布の大きさを工夫して製作計画を立てるようにした。
縫い代やゆとりといった袋づくりに必要な基礎的・基本的な知識及び技能を押さえ、その上で、願いに合ったシューズバッグに必要な布の大きさを工夫して製作計画を立てるようにした。
○1時間の授業の学習過程の工夫
本校の授業スタンダードである課題把握の場面の「タネまき」や追究場面の「プチ学び合い」で、見本の靴と袋を用いて自分の考えを練ったり、「全体の学び合い」で不織布をもとに自分の考えの根拠を伝え合ったり、具体物を用いて試行錯誤しながら工夫する場面を設定した。
本校の授業スタンダードである課題把握の場面の「タネまき」や追究場面の「プチ学び合い」で、見本の靴と袋を用いて自分の考えを練ったり、「全体の学び合い」で不織布をもとに自分の考えの根拠を伝え合ったり、具体物を用いて試行錯誤しながら工夫する場面を設定した。
【視点2】他者と協働する力を高める指導の工夫
○家庭・地域生活から課題を見付ける工夫
自分の靴まわり合わせた袋の大きさや、作る家庭を見通して製作計画を工夫したり、製作した物を生活の中で活用したりできるようにした。そのことで、もっと工夫したい、次の製作にいかしたいとの意欲につながった。
自分の靴まわり合わせた袋の大きさや、作る家庭を見通して製作計画を工夫したり、製作した物を生活の中で活用したりできるようにした。そのことで、もっと工夫したい、次の製作にいかしたいとの意欲につながった。
○課題の解決に向けた共同追究
ペアで実物や不織布を用いて必要なゆとりを確かめたり、実物投影機やマスキングテープを用いて根拠を伝え合ったりすることができるようにした。個の願いから、必要感のある共同追究につなげ、個の活動を深めることができた。
ペアで実物や不織布を用いて必要なゆとりを確かめたり、実物投影機やマスキングテープを用いて根拠を伝え合ったりすることができるようにした。個の願いから、必要感のある共同追究につなげ、個の活動を深めることができた。
【視点3】自分の成長を自覚できる評価の工夫
○学びのつながりを明確にした指導と評価
学習カードをリーフレット型にして既習事項を示したり、題材全体を見通したり振り返ったりできるようにした。
学習カードをリーフレット型にして既習事項を示したり、題材全体を見通したり振り返ったりできるようにした。
○実践意欲につながる評価
製作したシューズバッグを活用した後に、自分で見付けた改善点や家族の感想を発表し合う場を設定した。製作経験の少ない子どもたちが、活用する楽しさを味わったり、できるようになったことを実感したりできた。
製作したシューズバッグを活用した後に、自分で見付けた改善点や家族の感想を発表し合う場を設定した。製作経験の少ない子どもたちが、活用する楽しさを味わったり、できるようになったことを実感したりできた。
Ⅳ.研究のまとめと考察
○第4学年までの学習や小中5学年間の系統性を踏まえて題材を配列したことで、付ける力や指導の重点を明確にした学習が展開できた。
●協働的な追究場面を意図的に設定することで、友達の考え方ややり方から、自分の考えを広げたり深めたりする姿が見られた。
○地区協議会等の機会を捉え、小中の連携をさらに図り、5学年間の指導計画を見直していく。
●協働的な学習について、振り返りの場面での相互評価や気付きの共有等の研究を深めていく。
長野県佐久市立高瀬小学校 武内 滋子